ツバキ (ヤブツバキ)    「つばき科」
 2009年2月16日


 メジロが頭を花粉で黄色く染めてツバキの花に嘴を突っ込んで蜜をなめています、花の少ない季節だから、彼らに取っては貴重な栄養源なのでしょう。

 濃い緑の艶やかな厚い葉をつけ、冬の寒さにも負けず12月〜3月頃まで赤い花を開くこの木はタブ、シイ、カシなどを主とした照葉樹林帯ではこの木を代表として「ヤブツバキクラス域」と呼んでいます。照葉樹林帯は広くヒマラヤの北側から華南、朝鮮南部を経て日本の秋田、青森まで主に海岸よりの低地に分布しています。

 ツバキについて言えば鈴鹿山脈の麓には殆ど純林を造っている所もあります。伊豆大島、高知県の足摺岬、室戸岬、また潮の岬なども有名です。こんなところから内部地区ではツバキを地区の木に選んだのです。

 ツバキは江戸時代から花木として親しまれ沢山の園芸品種が作られました、しかし花弁の基部は続いているので散る時はかたまってぼとりと落ちるので「首が落ちる」と嫌われる事も有るようです。夏目漱石の小説「草枕」のなかで主人公が観海寺裏の「鏡が池」でツバキの花が散るところを見るシーンがあります、少し引用させて貰うと「向こう岸の暗い処に椿が咲いている・・・・唯鮮やかと云う許りで、一向陽気な感じがしない。・・・・余は深山椿を見る度にいつでも妖女の姿を連想する・・・・又一つ大きいのが血を塗った、人魂のように落ちる。又落ちる。ぼたりぼたりと落ちる。際限なく落ちる。」大分陰気な感じです。しかし秋篠寺の緑の苔に五六輪散った風情、また京都北山の常照皇寺のつくばいに浮いた一、二輪などには静かな美しさを感じました。
 ツバキ属にはサザンカなどのほか積雪地にユキツバキがあります。               


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