スダジイ (いたじい、ながじい)         ぶな科
2012年6月6日

 西南日本にふつうに見られる常緑の高木です。5月〜6月、萌木色の若葉が日に輝き黄色い香りの強い花を新しい枝に、雄花は枝の先の方に、雌花は下の方に何れも葉腋から出します。
 大木になり高さ25m幹回りは1,5mくらいにもなり椎の多い山ではこの季節山全体が黄色く輝きます。ぶな科の木の実をドングリと言いドングリのなる木は5属22種類あります。しい属は2種類スダジイとツブラジイです。
 
 またどんぐりは受粉した年の秋に熟す1年生と来年の秋に熟す2年生がありシイは2年生です。ドングリのお椀と言っている殻斗はシイ属では実を包んでいて熟すと先から三つに割れます。 子供の頃にドングリを食べると「ども」になると言われましたが食べると渋いところから言われたのでしょう。しかし大昔から食糧になっていたことは縄文時代の住居跡の発掘で沢山のドングリが見つかったことから想像できます。昔の人はどのようにしてあく抜きをしていたのでしょうか。

 ドングリは皆渋いわけではありません。クリは渋皮をとれば甘くておいしいし、スダジイ、ツブラジイ、マテバシイ、イチイガシ、シリブカガシはそのまま炒ったり焼いたりして食べられます。ただシイの実は小さいので面倒くさいのと、炒ったらすぐに食べないと冷めたら石の様に固くなって食べられません。 ドングリは秋地面に落ちると根を伸ばして自分を固定して冬を越し4月〜6月頃芽を出します。ですからドングリを蒔こうと思ったら拾ってすぐに土に埋めなければなりません。春まで机の引き出しに仕舞っておいたら死んでしまいます。
 
  万葉集に有馬の皇子の歌として「家に有れば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る」 というのがあります。歌の意味は「家では食器に盛るご飯を旅の途中だからシイの葉に乗せて食べる」いうようなことでしょうか。
 引っかかるのはシイの葉です。シイの葉は大体長さ10cm足らず、幅も4〜5cm位、とても食器の代わりにはならないと思うのですがどんなものでしょう。
 牧野図鑑ではスダジイ、イタジイの意味は不明との事です。ナガジイは実が長いからということですし、ついでにツブラジイ、コジイは実が丸い、小さいからだと言います。




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