コナラ  (ほおそ、なら、ははそ)       ぶな科 
2011年5月3日

 四月ともなると空を突き刺すように尖っていたコナラの梢に柔らか味が出てきます。銀鼠色の梢が浅葱色に変わり、新芽が伸びだすと丘陵全体が柔らかな浅緑に変わっていきます。
 コナラの新葉両面に細かい毛が生えているのでとても柔らかな感じがしますがこの毛はじきに抜けおちてしまい鮮やかな新緑に変わるのです。

 此のころ新梢の根元に雄花が房状に垂れ下がります。雌花は新梢の先に2〜3個付きますが此れは雄花が花粉を飛ばした後になります。多分自家受粉を避けるためでしょう。他の木の花粉を貰った雌花は秋に長楕円形のドングリとなります。 ドングリは樹の種類によって受粉した年に熟すものと、翌年まで待って熟すものがあります。

  コナラの仲間はブナ科に属し、日本では22種ありいずれも堅果(=ドングリ)をつけます。内部地域ではコナラ、アラカシ、アベマキ、ナラガシワ、スダジイ、クリが見られ、また気候の厳しい鈴鹿山脈は標高によって暖温帯から冷温帯の植物であるアカガシ、ウラジロガシ、ツクバネガシ、ツブラジイ、ブナ、イヌブナ、ミズナラがあります。

  この地方では、ブナ科の植物はマツの仲間が衰退した後、炭材またはシイタケのほだ木などに利用され、遷移の過程では常緑広葉樹のタブ、クスノキ、シイなどが進出するまでの間を埋める形で生息域を広げてきたのではないかと思われます。


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