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台風11号による大雨特別警報で四日市市が全市避難指示
その時 内部は・・・

 

 東シナ海を北上して九州と四国に大雨の被害をもたらした台風12号から4日後の8月9日(土)、遅れてやってきた台風11号が西日本を直撃した。気象庁は三重県に大雨特別警報を発表、これを受けて四日市市は前例のない全市避難指示を出した。

 この時、地区市民センターを中心に実施された内部地区の対応について記録にとどめておく。






台風第11号
 強い台風11号は8日(金)ごろから、ゆっくりした速度で九州の南部や四国を暴風域に巻き込みながら北上し、10日(日)午前6時ごろ高知県安芸市付近に上陸した。上陸時の勢力は中心気圧965hpa・最大風速35m/s・速度20km/h 。その後四国を通過して10時過ぎ赤穂市付近に再上陸し、昼ごろには日本海へ抜けた。
 台風11号は速度が15~20kmと遅く、四国への接近から上陸までの約3日間、西日本の日本海側から東北にかけて停滞していた前線に向かって台風からの湿った空気が次々と流れ込んだ影響で、各地で大雨となり、気象庁は9日17時20分に三重県のほぼ全域に大雨特別警報を発表した。

8月9日17時35分レーダーによる雨雲の様子 8月9日15時の衛星画像 8月9日15時天気図

 発表時点の台風は足摺岬南方140kmにあり、500kmも離れた三重県で「数十年に一度の大雨」が予想される大雨特別警報が出されたのは「レインバンド(降雨帯)」と呼ばれる発達した帯状の積乱雲が三重県上空に長くとどまったからである。
 台風は反時計回りに中心へ向かって空気が流れ、レインバンドは東側の離れた場所で形成される。この流れに引き込まれる形で南からの温かい空気が前線に向かって次々と流れ込んだ。紀伊半島は集中的に吹き込む位置にあり、半島の山にぶつかって上昇気流となり、積乱雲が広がってレインバンドが生まれたという。

四日市市の対応
 四日市市は8月9日(土)昼前には災害対策本部を立ち上げて警戒初動体制をとっていたが、17時20分に大雨特別警報を受けて警戒態勢を引き上げるとともに市内全域131,767世帯、312,610人に避難指示を出した。避難指示と同時に市は避難所開設を進め、9日24時時点で市内の指定避難所は116か所にのぼった。全市全世帯への避難指示は四日市市ではこれまで例がない。

 他の市町村でも同様の措置が取られ、午後7時までに三重県では四日市、鈴鹿、津、亀山、松阪市、紀宝町の6市町で計23万7610世帯、56万7124人に避難指示が出され、これら一連の動きはテレビ・新聞で大きく全国に報道された。

10日(日)5時半ごろのNHK。
画面は午前3時すぎの四日市市役所前の
街路樹が大きく揺れる様子
10日(日)8時51分のNHK
画面は午前0時すぎの四日市市役所
災害対策本部の様子

9日~12日(11日は新聞休刊日のため夕刊)の中日新聞・朝日新聞の報道
紙面の一例はこちら

内部地区の対応
 内部地区では9日(土)警戒初動体制に伴い、内部地区市民センターに館長が出動・待機して情報収集にあたっていたが、大雨特別警報と避難指示をうけて第3次警戒態勢に入りセンター職員3名および本庁からの職員4名が出動してきた。避難指示を伝えるため、内部地区には本庁からのリモート操作でサイレンが鳴らされ、広報車が避難を呼びかけた。
 館長は連合自治会長、各自治会長および自主防災協議会長に電話連絡するとともに、指定避難所開設のため本庁職員を派遣。連合自治会長、副会長と自主防災協議会長はただちに地区センターに出動してきた。 自主防災協議会長は避難所担当の自治会長に避難所開設・運営の指示・連絡を行い、これをうけて担当自治会長は本庁職員(職員の到着が遅れたところは学校校長)と共に学校体育館に避難所を開設、9日(土)19時ごろには4か所の指定避難所開設が完了し避難者が集まってきた。

 内部小学校では南小松自治会長が市職員と避難所を開設、出水に備えて校舎2階も準備し避難可能とした。
 内部東小学校では采女町北部自治会長が市職員と避難所を開設、集まった避難者にマットと防災倉庫から毛布・クラッカーを配布し、また学校からラジオを借りて経過情報を聞けるよう手配した。この後避難所には市職員が交代で常時、また担当の采女北部自治会長が深夜を除き現場に詰めて対応した。学校側も校長・教頭が泊まり込みで対応した。
 内部中では9日(土)19時ごろ貝家町自治会長が校長と共に体育館の鍵を開け、その後市職員が名簿等受付を設置して避難所を開設したが避難者はなかった。

 内部川と足見川に挟まれている貝家町自治会では独自に3役、各組長、消防団(自主防)26名を公会所に招集して対応を協議、公会所を1次避難所として一晩中開けて9名が詰めた。また南小松町自治会と北小松町自治会では公会所を1次避難所として開設し、南小松では出水の恐れのある世帯に、北小松では全世帯に連絡をして万一に備えた。

 内部地区各指定避難所への避難状況は以下のとおり、3避難所に延べ7家族、14人であった。四日市市全体では9日(土)23時で228世帯459人であった。











 この後10日(日)16時に避難指示が解除されるまで市民センターにはセンター職員4名・本庁職員4名・自治会役員3名の合計11名が詰めて情報収集、問合せ対応と警戒にあたった。
 
 三重県では8月9日(土)の1日降水量が、津市白山で435.5ミリ、津市笠取山で393.0ミリ、亀山で333.0ミリを観測し、統計開始以来の極値を更新するなど各地を猛烈な雨が襲ったが、幸いにも四日市市(南部丘陵公園アメダス)では242ミリ、また1時間雨量では17時に38.5ミリであったが、重大災害などの大きな被害はなかった。
 また、内部川の水位は8月9日(土)18時が最高で水位は河原田観測所で2.48m、あと少しで避難判断水位となるところであった。
  
8月10日14時ごろの内部川(水量はかねり減っている)
もっとも水量が多かったのは9日18時ごろで
水位はこの写真より約
1m高い所にあったと推定される
 

地区市民センターに寄せられた被害状況は以下のとおり。
     がけ崩れ 1件(北小松町)
     床下浸水 1件(采女町)
     カーブミラー倒壊1件
     水田畦決壊 1件
     足見川亀裂 4か所

(休日の土日2日間、24時間にわたり出動・対応された関係者の皆様に感謝申し上げます。)

今回の台風11号の詳細については気象庁の下記HPをご覧ください。
「台風第12号、第11号と前線による大雨と暴風[PDF:10.0MB]」

また、四日市市の対応については記者発表資料
「台風11号に係る四日市市災害対策本部対応状況(8/9第1報~8/10第5報)」を参照ください。

(2014年8月18日 社協広報部が取材しましたがすべての地区をカバーしているわけではありません)


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